本書はアマゾン創業者、ジェフ・ベゾスの半生とAmazon.comの成長を描いた本である。
ベゾスは生粋の理系であり、ギークであり、アントレプレナーであった。
ベゾスの生い立ちを綴る前半部分から、ベゾスの天才さがよくわかるとともに、起業して成功するべく人生を歩んできたことがわかる。
特にベゾスの生い立ちで面白いところは、田舎の酪農の家で育ったということだ。
「田舎で生活すると、自存的にならざるをえません。なんでも自分でするようになるのです。」
「土を相手に仕事をすると自存的になります。そうやってジェフは絶対に解決できない問題などないと学びました。障害は、障害だと思うから障害なのです。そう思わなければチャンスになります。」
と述べている。
また、ベゾスはAmazon創業前に、様々な会社で働いている。
そこで転機となった職場がD.E.ショーという小さな会社のヘッジファンドである。 株式取引のコンピュータ化事業で、通信プロトコルの部分を担当し、完璧に動作するプログラムを書いている。 そこで、26歳という若さで副社長の地位につく。(まさに天才)
そのヘッジファンドでインターネットの可能性の調査が行われ、 ベゾスは電子商取引の可能性に気づき、特に「本」のEC事業に確実性を見いだした。
しかし、D.E.ショーではその事業は行わないということになり、 そこで、莫大な報酬を捨てて、起業することを決める。
そのときにベゾスは「後悔最小化理論」なるものを用いている。
それは、ヘッジファンドのボーナスがもらえなくなったことは80歳になったときには後悔しないだろうが、インターネットが成長するこのタイミングで、EC事業を起業しなかったら後悔するだろうということだ。
ここで印象的な言葉が出てくる。
「失敗を覚悟すると、心は軽くなるのです」
天才的なベゾスでも30%の成功率しかないと見積もっていて、 70%の失敗確率を受け入れていた。 それは、まさに天才であり、アントレプレナー気質であることを物語っているように思う。
会社設立2ヶ月後、ジェフは本の売り方を学ぶために書店開業セミナーに足を運んでいる。 そこで聞いたとある話から、
「顧客最優先」
をAmazonの理念に決めている。
その後も優秀な人材の採用、莫大な資金調達、顧客第一主義の実現、特許戦略、利益度外視の先進的な経営等、天才的なリーダーシップ&マネジメントを発揮していく。
Amazonがここまでの企業になったのは、ジェフ・ベゾスがいれば当然のことだったように思えるほどに、彼の天才さがよくわかる。