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書評「楽観主義者の未来予測」 - 要約まとめ

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「楽観主義者の未来予測(上): テクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする」の書評というか要約を。

本書はピーター・H. ディアマンディスとスティーヴンコトラーによるものである。

それでは、以下要約。

本当に希少な資源はなく、入手可能性の問題。

 テクノロジーによる解決
 一個のパイを小さく切り分けようとするのは、希少性という脅威への優れた対応とはいえない。
 もっと多くのパイを作る方法を考えだしたほうがいい。

変化をつくる三つの力

 1. 型破りなイノベーターたちが持つ新しい力。テクノロジーのイノベーション。
 2. テクノフィランソロピスト(技術慈善家)による大金
 3. 貧困層の中で特に貧しい「ボトム・ビリオン」を新しい市場の力へ

潤沢な世界とは

 すべての人が、可能性に満ちた暮らしを送れるようにすること
 生活必需品プラスα

潤沢のピラミッド

 上:自由と健康
 中:潤沢なエネルギー、十分な教育機会、情報へのアクセス
 下:食料、水、住居など

カタクラシー:分業が生む無限の可能性

 エネルギー、教育、情報通信

教育

 創造性と好奇心を高める方法、批判的思考、読み書き、数学の興味に沿った実践を通して学ぶ

時間という資源の絶対条件
楽観主義を阻害する心理的な働き

認識バイアス - 特定の状況において生じる判断の狂いのパターン
妥当性の錯覚 - 自分自身の信念が現実であると見なす傾向
ヒューリスティクス - 認知プロセスのショートカットであり、時間とエネルギーを節約し意思決定プロセスを簡素化する経験則
確証バイアス - 情報の探索や解釈を、自らの先入観を裏付けるような形で行おうとする傾向
ネガティビティバイアス - ポジティブな情報や経験よりも、ネガティブな情報や経験に重きを置く傾向
アンカリング - 意思決定を行なう際に、特定の情報に頼りすぎる傾向
バンドワゴン効果 - ほかの人々と同じ行動や考え方をしようとする傾向
心理学的免疫システム - 自分自身をひどく過大評価すると同時に、世界全体をかなり過小評価する
コントロールの可否により、楽観的に捉えるかどうかが影響される
脳はローカルで線形的に進化してきたが、世界はグローバルで指数関数的に進化している

ハイプサイクル - 新しいテクノロジーが初めて紹介されると、それに過度な期待を抱くが、そのテクノロジーがハイプ(大げさな評判)に沿わない場合には、一時的に失望する。
ダンバー数 - 人々が自分自身で管理できるのは、150人ほどのグループまでだということ

「扁桃体の機能と、メディアの市場シェア争いのせいで、放送電波は不吉な話をする予言者であふれている。
ネガティビティ・バイアスと権威バイアスの作用で、私たちはそうした不吉な予言者を信じがちだ。
そして私たちの脳がローカルで線形的であるために(ダンバー数はその一例)、私たちはそうした権威のある人々を友達のように扱う。
それよにって引き起こされる内集団バイアスのせいで、私たちはそうした人々をさらに信用するようになるのだ。」

損失回避 - 人々が利益からえる満足よりも、同規模の損失からの苦痛をより強く感じる傾向

時間は資源
物質はゼロサムゲーム。情報はゼロサムゲームではない。
指数関数的テクノロジー

・ネットワークとセンサ
・人工知能
・ロボティクス
・デジタル製造技術と無限のコンピューター力
・医療
・ナノ材料とナノテクノロジー

テクノロジーの指数関数的成長により、私たちが陥っている穴が穴ですらなく、貧富の格差はそれほど大きな格差ではなく、現在のテクノロジーの進歩が、直面する課題に対応するのに十分すぎるほど速いとすれば、「潤沢な世界」についての批判はもはや問題ではなくなるはずだということだ。

協力のツール

1.輸送革命
2.ICT革命 接続・分業・規模

オープンソース - 「君が誰であれ、優秀な人はたいてい、他の誰かのために働いている」ビル・ジョイ

認知の余剰

米国だけでテレビをみる時間は毎年2000億時間
Wikipediaを作成するのにかかった時間は1億時間

スリングショット - 小さな箱形の蒸留装置 100%の純度の水ができる。ヘアドライヤー1台分の電力で1日に1000ℓ
ボトル型の水フィルター、ライフセーバー
セルフクリーニング機能をもったナノ材料を排水設備へ
ナノエイチツーオー - 海水淡水化技術の逆浸透膜方式の新しいフィルターを開発
水のスマートグリッド

90億人を養う

GM技術 - 「自然選択による進化」から「合理的な指示に基づいた進化」
垂直農場 - 水耕栽培(ハイドロポニクス)、空中栽培(エアロポニクス)
 地球上の70%の水の使用から6%へ

最高レベルの持続可能な農業

・廃棄物はゼロで、環境への負担はなく、その拡張性によって世界の人々を養える可能性がある、地域完結型の食料生産・流通システム
・垂直農場、アクアポニックス、ロボット収穫システム、人口知能システムとバイオセンサの組み合わせによる高度な環境制御、バイオマスエネルギーシステムの継続的な開発、廃棄物リサイクルシステムの改良と継続的な統合など

タンパク質の取得

・水産養殖
・試験管肉

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